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短頭種気道症候群(軟口蓋過長)

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こんにちは。

気がつけば何ヶ月もブログを放置しておりました。

前回の投稿から冬を通り越してすっかり春めいた今日この頃です。

ここ最近は暖かい日が続き少し動くと汗ばむくらいの陽気です。

人間はこのように汗をかくことで体温の上昇を防ぎますが、犬や猫は基本的に汗をかきません。いや、正確には汗による体温のコントロールができないというべきでしょうか。

ですので、春になると増えるのが熱中症です。

え?熱中症って夏じゃないの?と思う方も多いと思いますが、真夏は人間も熱中症になるシーズンですから飼い主さんが熱中症に気をつけてくれます。実は熱中症シーズンは4月5月に始まります。人間にとっては快適な季節なので、油断するんですね。ワンちゃんは顔が地面に近いので温められた空気を吸うことで熱中症になりやすいんです。しかも飼い主さんは油断しているシーズンですから尚更です。

しかしワンちゃんもみすみす熱中症にはなりません。ワンちゃんは体温の上昇を防ぐために早く浅い呼吸、いわゆるパンティングを行います。息の中に熱を逃すんですね。

柴犬やダックスのような鼻の長い犬種はこれである程度OKなんですが、パグやブルドッグ、チワワ、ヨーキーなど顔の短い犬種はこのパンティングによる熱の放散が上手くいかない子がちょいちょいおります。

時々見かけませんか?ガーガー苦しそうに呼吸をしているワンちゃん。多くはパグやブルドック、チワワだと思いますがいかがでしょうか?

あれ、軟口蓋過長という奇形のせいなんです。

舌で上顎を触ると前歯のすぐ後ろは硬くて、奥の方に行くと柔らかくなりますよね。

その柔らかいところが軟口蓋です。その軟口蓋が長く厚いと、喉の奥の気管の入り口付近の空気の通りを悪くしてしまいます。

下の写真がそれですね。

 

 

レントゲンで見るとこうなります。黄色の丸の部分ですね。

 

これ、病気とかじゃなくもって生まれた構造ですから、お薬とかで治すってのができません。

しかし放っておくと、呼吸の際に力を使って息を吸ったり吐いたりするので、心臓や気管に負担がかかります。

イメージとしては、ストローで呼吸をするときに、ストローの先に障害物を置く感じです。

安静時はそれでもいいかもですが、動いたりするとしんどいですよね。

必死でたくさん呼吸をすると酸欠になり心臓にも負担がかかります。

また、力を使って呼吸をするので、気管にも圧がかかり、気管が弱っていき、最終的には気管虚脱という大変な状態になります。

※ストローの先に障害物を置いた状態で思い切り吸うと、ストローがぺちゃんこになります。最初のうちはストローがぺちゃんこになってもすぐに元の形に戻せますが、何度も繰り返すうちにストローがふにゃふにゃになって丸い形に戻れなくなります。この状態を気管虚脱といいます。

 

こういった、短頭種に好発する一連の呼吸器症状を短頭種気道症候群といいます。

治療は、手術にてこの軟口蓋を切除して呼吸を楽にさせてやることです。

治療によって熱中症予防だけじゃなく、将来的な心臓病や気管虚脱のリスクも減らすことができます。

当院ではついでに、鼻の穴も大きくして、空気の間口も広くします。

下の写真は、向かって右側(ワンちゃんの左)の鼻の穴を広げた状態です。

 

このパグちゃんは、病院に来たらすぐにわかるくらい呼吸の音が激しかったのですが、今では来院しても気づかないくらい静かな呼吸になってます。

きっと本人も快適なことでしょう。

 

ブルドッグやパグ、他、呼吸の音が大きいワンちゃんを飼っていらっしゃる方は一度ご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

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