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こんにちは、院長の稲村です。
前回の投稿からあまり日を空けずに投稿するという目標を掲げつつ、今日にいたります。
小学生の夏休みの宿題とかこんな感じですね。締め切りがない分、余計に後回しです。
さてさて本日のテーマは亀の卵詰まりです。
当院は、猫、犬、兎、フェレット、ハムスター、チンチラなど哺乳類以外にも、
インコ、文鳥、フクロウなどの鳥類、
ヤモリ、トカゲ、カメ、カメレオン、ワニなどの爬虫類(ヘビを除く)、
カエル、ウーパールーパー、イモリなどの両生類なども診察しております。
特に爬虫類や両生類は診察している病院の数が少ないため、遠方からも患者さんが来院されます。
で、今回は27歳くらいのミシシッピアカミミガメです。
毎年夏になると元気になるのに、今年は元気がない。食欲もない。とのことでした。
意識はしっかりしてますが、アカミミガメのわりに大人しい印象でした。
後ろ脚の付け根もひどくむくんでおり、腎不全や卵詰まりがあるかもしれないと思いレントゲンを撮影したのが次の写真です。
黄色で囲っている部分には卵が写っていました。
お尻のほうを拡大してみます。
うっすら卵の殻のようなものが見えます。
骨盤にコルク栓のようにハマってしまっています。
これは苦しいかもですね。
しかも腸にはぎっしり砂粒が詰まっています。
亀のお尻の穴から指を入れると骨盤にハマった卵に触れました。
亀の卵は鶏の卵と違って、殻がピンポン玉のような質感で割れにくいという特徴があります。
力を加えてもバリっと割れるのではなく、凹んだり裂たり破たり、そういう感じですね。
そこで亀のお尻からピンセットを入れて卵の殻をつかんで卵を摘出しました。
黄色い丸で囲っているものが卵です。
ちなみに赤丸は腸の中の石です。
トレイの中は水がありますが、腸からドバっと出てきました。
詰まった卵を摘出することで流れたんですね。
これで少しは楽になるでしょうが、なんせ高齢なので油断はできません。
ちなみに体調不良の亀がレントゲン検査を受け、レントゲンに卵が写ればそれだけで「卵詰まり」と診断されていることが多々あります。
「卵がある」ということと「卵が詰まっている」ということは全くの別件です。
このレントゲンのように骨盤にすっぽりハマってしまって産卵できなくなったのが「詰まり」です。
ただ卵がある、かつ亀が体調不良という場合は、ほかの理由(卵巣ホルモン由来の体調不良など)を考慮する必要があります。
またそこそこのサイズの亀なら、手術をしなくても詰まった卵を取り出せます。
「卵詰まりで手術が必要、どっか対応している病院を探して」と投げられてしまった場合、一度ご相談ください。