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こんにちは、院長の稲村です。
前回の投稿からあまり日を空けずに次の投稿をしようと思いつつ、気づけば1年近くが経過。
時間の流れは容赦ないですね。
ってか、ここまで無精者ですみません。
前回は避妊のお話をしましたがそこそこの反響がありました。
こんな滅多に更新されないブログをチェックしていただいて大変恐縮です。
もうちょいペースアップして頑張ります!
さてさて今回は、フードに関する質問についてです。
「どんなフードがいいですか?」「いいフードは何ですか?」という質問をよく受けます。
初めて動物を飼う人や、病気や臓器の衰え(皮膚、腎臓、心臓、関節、消化管、肝臓、膵臓)などが発覚して、毎日の食事を見直そうと考えた飼い主さんからよく聞かれます。
まず、大前提として「フード」という、いわゆる既製品のみで賄われる食餌はそもそも人工的なものであるということを認識していただきたいです。
いい点もあれば悪い点もあり、何を優先し何を妥協するかがポイントになります。
また犬、猫、フェレット、ハムスター、ハリネズミなど雑食性や肉食性の動物は本来、毎日、毎食、食べるものが変わります。都度都度捕まえた獲物を食べるわけですから。なので飽きというものも考慮しなくてはいけません。
※キャットフードにはすでに猫の「飽き」に配慮する流れがあります。
サンプルなら食べるけど大きい袋で購入すると食べない。
開けたばかりのものしか食べないなど、昔から飼い主さんの声はありました。
またネット普及に伴い簡単に検索だけでなく投稿もできる昨今、ネット上では「〇〇というメーカーの▲▲というフードじゃなきゃダメ」だとか、「どこそこのフードは発癌性がある」とか、無責任な情報が氾濫しております。
さすがマユリ様、いいことおっしゃいます。
さすが地上最強の生物。さすが範馬勇次郎。
上記のお二方がおっしゃるように完璧なフードというのはございません。
食事とはそもそも異物を取り込み自分の血肉に変える作業。
若くて元気ならなんだっていいです。一つの銘柄にこだわらず色々食べればいいです。雑食 or 肉食なら。
ただ、持病などの管理の一環として食餌を選ぶ方もいらっしゃいます。
代表的なのは下記の3つじゃないでしょうか。
①食物アレルギー
当院ではという限定的な範囲ですが、「本当の」食物アレルギーの子は少ない(全体の5%未満)と感じています。
食べるもので皮膚のトラブルが出ることはあり得ますが、イコール「アレルギー」ではないことが多いんです。
アレルギーって、それを食べたら発症、食べなければ発症しない、が原則です。
なので季節性があったり、タイミングが限定的だったりするとそれは食物アレルギーの可能性は低いです。
アレルギー検査などで反応が出たとしても、イコール現在の皮膚の症状の原因となっているとは限りません。
そもそもアレルギー検査は、現在の症状がアレルギーによるものかどうかを調べる検査ではありません。
アレルギー体質を持っているかどうかを調べる検査です。
もし皮膚のために食事を制限しているにもかかわらず皮膚の症状が治まらない方がいらっしゃいましたらご相談ください。
②尿石症
もうこれは食餌で管理する時代ではなくなりました。食餌で結石を溶かすとか予防するという考え方は、昔は通用しましたけど最近はそれではうまくいかない症例のほうが多いですね。
昔は国産のフードが粗悪なせいで、肝臓での代謝が追い付かず血液がアルカリに傾き、それに伴い尿もアルカリ性になって結石ができてしまっていました。
そこで海外の良質のフードを食べさすと血液が中性になり、尿も中性になり結石が溶解したって話です。
当時はそれがあまりに衝撃的で、飼い主や獣医師に強烈なインパクトを与えました。
以降、「結石=食餌管理」が刷り込まれてしましました。
現在は粗悪なフードが少数になり、一般に販売されているフードも良質で飼い主さんの意識も高まっていますので食餌が原因で結石ができているわけではなかったりします。
肝機能もしくは腎機能のなんらかの障害であることが多いです。
つまり現在、尿石症用の食餌で再発が抑えられているという子の多くは、その食餌じゃなくても再発しなかったりします。
③腎臓
これは一定の効果がありますが最大の欠点は嗜好性でしょうね。
まだまだ体調に影響が出てないくらいの腎臓障害なら、動物は元気で何でも食べるのでいいんですけど、いよいよ体調不良になったら腎臓食は早い段階で食べなくなります。
さらに次の段階(後期、末期)に入ったら腎臓職にこだわらず食べれるものを食べさせてくださいとお伝えしています。
毎日の食事がまずい。
こりゃなかなかにQOLを下げることがあります。
※QOL=クオリティーオブライフ:毎日の生活の質のこと
食べない腎臓食より食べるジャンクフードっていう考え方の切り替えが末期の子には選択肢の一つになります。
とまぁ色々書きましたけど、結局はマユリ様の一言に集約されます。
毎日おいしく健康的に食べれるフードは個々で変わりますから、何でもご相談ください。